前半では、佐内の思いがけない会社前での告白によってまたもや歩が悪者になってしまうのを谷地が(佐内も)守るという形で終わっています。
この名づけるなら「佐内騒動」は決着し、素敵なバレンタインのエピソードと、仲良し3人組の中でも価値観の差がありながらそれを認めあったり、歩が自分の気持ちが一番谷地と距離が近いことを認識して幸せな気持ちになるところで終わっています。
後半は、いよいよ1巻目からずーっとなんとなく尾を引いてきていた谷地の元カノに関するエピソードです。
地元の結婚式と元カノの存在
きっと愛してしまうんだ第6巻の前半のネタバレはこちら↓
歩との映画デートの日をずらしたいと言う谷地。
釣り仲間との釣りの計画が持ち上がり、足を傷めた歩の祖父も来るので自分もいた方がいいのではと言い訳する谷地に、歩は快諾。
歩は将棋の集まりに行ってみようかと思うと楽しみそうに言い、それを見た谷地は「俺のせいで他の男とデートさせてしまう…」と歩を抱きしめます。
ある日、谷地が断ったはずの結婚式の誘いを再び受けていました。
谷地がお祝いごとを行き渋る様子を見た歩は、「会いたくない人がいるの?」と聞くと、「前の彼女」と答える谷地。
歩が元カノの話を聞かせてほしいと言うと、谷地は4年ほどつきあったという話、いつも自分に依存的だったという話をし、歩が「同期の私が一番話しやすかったはずなのにごめんね」と谷地に謝ります。
それを受けて、谷地は「結婚式には出るけど二次会には出ないでまっすぐ帰ってくる。だって帰ってくる家ができたから」と笑顔で言います。
谷地が出かけた日、綾野が彼氏の亮太を連れて食事つくりにやってきます。
亮太は、自分達のために部屋を譲ってくれて困っていた谷地をこの家に迎えたこと、綾野が孤立した時に全力で守ってくれたことに感謝を伝えますが、歩は「おかげで二人に出会えました」と応じます。
また、その時に綾野も知らない谷地の元カノの話をする亮太。
その中で、元カノと谷地は12年間付き合っていたことや別れた時には谷地がボロボロになったという情報がもたらされ、動揺する歩。
とはいえ、綾野と亮太が入籍したことを報告されて、大喜びする歩。
おいしいごはんと、たのしい会話、大好きな友達との夜を、谷地を待ちながら過ごす歩。
しかし、残念ながら谷地はその夜帰ってこなかったのです。
なぜ谷地が「本当のこと」を話さなかったのか、結局帰ってこなかったことで元カノに会ってしまったのかと読者も不安になる回でした。
もしも
翌日、帰宅した谷地は帰ってこれなかったことを平謝りします。
歩は「友達にあってきたらって言ったの私なのに」と言い、二人の間に不自然な空気が流れます。
谷地は元カノが結婚式にはいなかったことを告げ、それを聞いてほっとしながらも亮太から何をどんな風に聞いたのかを問われ、
「藤田が聞きたいことがあるなら話す」
「今する話じゃなくない?」と伝えてしまいます。
無自覚に元カノに嫉妬している歩を感じながら、避けられる谷地は綾野に協力してもらって歩を社内でつかまえます。
「藤田が俺のことで不安を感じてるなら、俺にしか解けないんじゃない?」
自分が思っていることを告白する歩。
それは「やきもち」だと谷地に指摘され、今日は早く帰って一緒にごはんを食べようと言われてほっとする歩。
帰り道、いったんは歩に声をかけた女性が他の人に道を聞いているのを見た歩が「とっつきづらいのかな」と気にしながら帰宅すると、豪華な食事が待っていました。
そこへ玄関の戸をたたく音が聞こえ、谷地が対応に立ちました。
ずいぶん戻らない谷地を心配して出てみた歩は、先程道を聞いていた女性が立っているのを見ます。
谷地の「俺は会わないって言ったよね」という言葉に、全てを察する歩。
歩が今の彼女で一緒に暮らしていると紹介され、帰ってほしいと他人行儀に言う谷地を超えて女性は自分が谷地の幼馴染の森下茉里だと自己紹介をするところでこの回は終了します。
普通の女性ならあの場であんな風にしないだろうし、そのなんというか言葉が汚くてすみませんが面の皮の厚さと、歩の心中を思うと怒りがメラメラしてしまう回でした。
クチナシ
歩は席をはずそうとしますが、谷地が森下を駅まで送ってくるとサンダルで出かけていくのを見て、すっかり冷めてしまったごはんを温めなおそうとします。
そこへ、谷地がなんでもなかったように「ただいまー、腹減った」と帰ってきます。
食事はとてもおいしかったけれど、どこかもやもやした気持ちでいる歩に、谷地は彼女との話を聞いてほしいと言い、歩は全てを受け止めます。
そんな歩を抱きしめて、「少し甘えさせて」と言う谷地。
彼からはクチナシの香りがします。
大通からの一番の近道の路地に咲いているクチナシが満開の頃なのを歩は知っていて、谷地がそこを大急ぎで走ってきてくれたのだと察したのです。
谷地の元カノは気持ち悪い印象の女性で、次回以降も何かと登場してきそうな雰囲気。
早く去ってくれと思いながら、ここで物語はさらに大きく動くことを予感する回でした。
さあ、秘密をはじめよう番外編
加藤さんがロシア赴任になって3年目のお話。
なんともう8カ月も会えていないそう。
あまりにも毎日大量のラインを送ってくれる加藤さんの帰りを待ちながら、仕事をがんばる真依ですが、社内恋愛禁止の会社であるがゆえに携帯電話が鳴り過ぎると隠すのも大変。
それを伝えたら加藤さんはぱったりラインをよこさなくなり、さすがに真依も謝ろうか迷いながらPCに向かいながら、「私だって会いたいの我慢してるんだから加藤さんも仕事頑張ってよ!」と思わず叫ぶと、「真依、強調してほしいのそこじゃないんだけど」という加藤さんの声。
必死で時間を作って、明日にはロシアに戻るという加藤さん。ふたりの遠距離なのに慌ただしい遠距離恋愛はまだまだ続きそうです…。
でも、そんな弾丸ツアーでも会いに帰ってくる加藤さんがとても「らしい」と思うし、それを「もうやめて」と言いつつ全身で喜んでしまう真依もとってもかわいらしい番外編でした。
結婚までいくお話がいつか描かれるのだろうかとひそかに楽しみにしている私です。
きっと愛してしまうんだ。6巻の感想
この巻は、裏表紙の「いよいよ次巻が最終巻!」というだけの価値あり!
これまでぼんやりしていた谷地と元カノのことが絡んできたり、歩はこれまでどんなふうに傷ついてきたのをごまかしてきたのか、それを理解してくれる友達が「ちゃんと」できたのが読者にも歩自身にも分かったエピソードもあり、もうおなかいっぱい、というエピソードが満載でした。
あの元カノであれば直接バトルを仕掛けてきかねないな、と歩を心配する一方で、ちゃんと歩を愛して大事にしている谷地がつらい思い出の根源である元カノとどう対峙するのか、そしてふたりはどういう形の幸せを見つけていくのか、次巻もとても楽しみです。
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