この作品は、社会人の恋愛ものの雑誌プチコミックで連載されている大人気の作品です。
作者の一井かずみ先生は、ほんわかした雰囲気の作風で、かつ等身大の女性を描くことで人気を博している作者さんです。
今回は、現在連載中の「きっと愛してしまうんだ。」第6巻の26話・27話と番外編の3話分についてのネタバレや感想です。
全巻までのあらすじ
前巻では、主人公の藤田歩に、彼氏である谷地俊輔と一緒にいる前で後輩の佐内が会社の前で大声で告白するというラスト。
このような形で終わっており、「谷地くんどうすんの?!」と思った読者さんも多いはず。
新刊は、そのシーンからスタートします。
噂に傷つけられる歩
引用元: きっと愛してしまうんだ第6巻より
佐内は、告白はしたものの、自分でも意外な告白に大声(悲鳴?)を上げながら逃走してしまいます。
それを追いかける谷地。
歩は、会社前ということで女子社員からひそひそと悪口を言われ、胸を痛めながらも佐内と谷地を追いかけて「藤田が困ると思わなかったのか」と佐内を叱っているところに追いつきます。
「佐内くんに特別な思いは持っていない。期待させたならごめんなさい。こういうことはとても困る」と、努めて冷静な様子で、おなかをズキズキさせながら言い切ります。
(歩はストレスがかかるとおなかが痛くなってしまう体質)。
その歩を気遣う谷地。
しかし翌日には噂は会社内に広がり、それを佐内と谷地が耳にするだろうことを考えて胸を痛める歩。
そこへ、歩と親しくしている有元という女子社員が声をかけてくれますが、何かを言いかけてやめる様子を見て、歩は思い切って有元と、親友の綾野に今回のことを相談します。
ふたりは、
「噂なんて相手にしなければ消えていく」
「藤田さんは平気じゃないでしょう?人は、同じ言葉に何度でも同じ深さで傷つくんです。傷を隠すことには慣れますが」
と歩のことを気遣ってくれたことで、歩は思わず涙を流してしまいます。
人づきあいが苦手な歩には今までそういう歩を理解してくれる友達がいなかったから。
そんな時、社内で女子社員が歩の悪口をしているのを谷地の耳に入り、谷地がそれを咎めていると、そこへ佐内が「俺は藤田さんを好きでいるのをやめません」と彼氏である谷地に言い切ってしまいます。
谷地は思わず素でけんかをしてしまい、それを見ていた女子社員達はもう黙るしかなくなってしまい、偶然それを見ていた歩も谷地がむしろ楽しそうに見えてほっとするのでした。
谷地と暮らすようになって、歩にも沢山の変化がありましたが、それがよく表現された回で思わずニヤってしまいました。
Re:バレンタインでゆったり温泉じゃないけど温泉気分
2月が近づいて、街中も歩たち女子社員もウキウキした空気。
綾野の遠距離恋愛中の彼氏も帰ってくるということで、喜び合う仲良しの3人。
歩は、何もプランを考えていなかったことに気付き、綾野達に旅行などどうかと提案された歩は色々調べてみて、谷地と相談。
結局温泉旅行に行くことになりました。
予約もできて、張り切って仕事をするふたりですが、歩の担当している徳山興産が、他社の発注ミスのカバーを歩の会社で行えば、その後もその部分についても歩の会社で取引してもいいというのです。
歩と谷地はとにかく頑張ってものを集めますが、納品は土日でOKという徳山興産と、ものが集まるのが土日で、旅行はどうしてもキャンセルせざるを得ない状態に。
そんな時、歩は
「楽しみだったのは旅行そのものよりも、谷地くんとの特別な時間だったんだ」
ということに気付きます。
ふと雑貨店で目に入ったきれいな色のマフラーなどを物色。
その中に大きなブランケットを見つけます。
納品の日、先方の担当者が娘の誕生日ということで急いで帰りたいという気持ちを汲んだふたりは検品を手伝い、連休はのんびり過ごそうという話になります。
翌日、谷地は自宅に届いた大きな荷物にびっくり&大喜び!
歩が雑貨店で見つけた大きなブランケットにふたりでくるまれば温泉気分になれるのではと思って購入していたのでした。
ふたりはブランケットにくるまりながら、歩が作ったチョコレートを食べます。
料理上手の弟の特訓を受けたこともあって、去年よりずっと上手にできたチョコレートに感動する谷地がとてもかわいらしく、彼の優しさと無邪気さが伝わってくるシーン。
お酒も飲みながら、ゆったりとした甘やかなバレンタインを過ごすのでした。
こういうキャンセルにも怒ったりしない谷地も素敵だし、予定外もアイディアでより素敵なバレンタインにしてしまう歩もすごく素敵だし、そういう女性に自分もなりたいな、と思う回でした。
同棲?同居?!
いつもの仲良しのランチタイム。
有元にも2年ほど谷地と同居している話をして、
「同棲と同居ってどう違うんですか?」
と聞かれて詰まってしまう歩。
自宅で深く考えていなかったけどどういうのが同居でどういうのが同棲になるのかと膝を抱えていた歩を見て、ココアをねだる谷地。
部屋でココアを飲むという谷地を見送って、雑誌だけ読んでから部屋に上がろうと思いながら、うとうとしてしまう歩に気付いてブランケットをかけて、自分も横になる谷地。
寝返りを打った谷地が愛おしくなった歩は谷地にくっついて彼の背中にキスをします。
「私は今、誰よりも心が谷地くんに近いんだ」
と思いこれが同棲か、と妙に納得する歩と、
「これは誘われているのかな…」
と戸惑う谷地がなんともかわいらしいラストでした。
今回のはとても短いエピソードなのですが、なんとも歩らしいエピソードです。
同棲とか同居とかの線引きをしてしまう生真面目な歩と、そんな歩にどうでもよくない?という柔軟な女子たちとの差異も面白くて、その差異がありながらでも友達でいられるのが大人だよなと思わされる、そんな回でした。
きっと愛してしまうんだ第6巻前半の感想
ここまでで、6巻の半分になります。
これまでも「鉄壁の美女」というイメージに縛られていて、元々人づきあいが苦手だった歩が同僚に相談するシーンは私にとってとても印象的なシーンでした。
また、「人気者のみんなの谷地くん」だった谷地が、歩と谷地と佐内の噂を歩が浮気したとか好き勝手に吹聴する場面で、「藤田の噂を吹聴するんだったら味方じゃない」ときっぱり言い切るシーンもあり、「いい人キャラ」で通るのを複雑な思いでいた谷地本人の変化も見られるエピソードたちでした。
残り半分にも、二人の甘々なシーンあり、谷地の過去に迫るエピソードで歩が揺れるシーンありで、最終回に向けての具体的な動きが満載です!
その②はこちら