きっと愛してしまうんだ。第34話はプチコミック11月号の掲載です。
一井かずみ先生らしい、ほんわかしつつもきっちり大人の直面する厳しい事情などもきっちり描かれていることでも大人気の連載です。
前回では谷地が全部手配した温泉旅行に出かけて、帰り道で谷地からプロポーズを受けてそれを歩が自然な気持ちで受け入れる、というところで終わっていました。
第6巻のネタバレはこちら
プロポーズで変化したこと
プロポーズを受けてから、二人は谷地の部屋で一緒に眠るということにした様子。
「土曜日だし、もう少し寝ていたいなぁ」
とも心の中で思いながら、谷地の寝顔をちら見したり、谷地の体温や自分の部屋と僅かに違う谷地の部屋を感じる歩。
引用元: きっと愛してしまうんだ34話より
実は少し前に起きていた谷地に、独り言を聞かれていた恥ずかしさに顔を赤らめます。
谷地に料理を習う日だったと起きようとする歩のスマホに、実家の母から電話がかかってきて、今日予定がないなら二人で実家に来なさいとの内容で勝手に電話が切れてしまいます。
一体何が待っているのかは気になりますが、谷地による料理教室はなくなったようで、私はちょっとほっとしました。
いいんだって、出来るほうが出来ることやれば、というのが私の持論なので、あまり積年のコンプレックスを解消することにこだわってたらおばあちゃんになってしまうのよ?と老婆心ながら思ってしまったのでした。
歩の実家に向かう道中、2人は何の用件か気になって仕方ありません。
実家に着いてみると、歩そっくりの弟 駆(かける)、厳しそうな表情の母、にこにことした善六と歩の親友であるカメのタケルが待っていました。
お父さんの姿が無いことに気付くと、出かけてしまったとのこと。
歩の母は「娘の彼氏に会いたくなかったんじゃない?」と察します。
谷地と歩は「じゃあ結婚の話はナシだね」とこっそりささやきます。
歩の母と弟から自己紹介を受け、谷地も自己紹介と正式に歩と付き合っていることの報告をします。
また善六の家に住んでいながら挨拶の一言がなかったことも詫びますが、善六がなだめようとするところに母の厳しい一喝で谷地は冷や汗もの。
険悪ムードのままですすむのかと思いきや歩の母が、
「谷地…俊輔くん」
「もう知っていると思うけど 歩は無愛想な上気難しいし その上頑固。なのにどうしようもない小心者でしょう。よく続いてるわね。迷惑かけてない?」
と、時々電話などで登場するだけだけれど、いかにも歩の母らしい問いかけをします。
谷地はそれを聞いて、
「歩さんは誠実で きちんと物事を考えてくれる。それでいて優しい女性です。これからもおつき合いさせてください」
と一生懸命な表情で言います。
それを受けて、歩の母は顔をほころばせてお礼を言います。
歩の母の話は本題へ。
善六をふたりの家に帰そうと思っていると。
母としては、階段や段差のある元の家の方が善六の体のために良いのではないかと言います。
ただ、驚いた表情を浮かべる二人は、「二人きりじゃ、なくなる」ということを悟ります。
善六はどこか申し訳なさげな表情を浮かべていますが、谷地はそれを受けて善六のかねてから家に帰りたがっていた気持ちがかなってよかったと祝福します。
さらに歩の母もしばらく同居したいとの申し出が。
夜は二人がいるので何かあっても安心だが、二人が働いている間に何かあっても誰も気づいてくれないということが問題で、家に慣れるまでの数カ月は一人の時間を作らせたくないということでした。
善六は強がり一人でも大丈夫と言い張りますが、歩の母はキツイ言い方をしながらも父を心配します。
2人のやり取り見ていた谷地は
「分かりました。じゃあ俺は入れ替わりであの家を出ます。長い間 お世話になりました!!」
あっさり、さわやかに言い放ちます。
善六は、谷地が過去の失恋でつらい時に、釣りをしながら泣いていた記憶が色濃く残っていて、谷地を支えたいと思っているのです。
谷地もその気持ちを悟り「ありがとう…」と。
谷地はきっぱりと家を出ることを決めた様子。
しかし歩は、急展開過ぎて頭がついていかず、どうしたらいいも分かりません。
善六が「あーちゃん!俺と鬼を二人にせんでくれ!!」と懇願します。
「じじい、あとで覚えとけよ」と般若顔で言う歩の母が恐ろしい…。
何も言えない歩に、谷地が残ったらと勧めます。
歩は「うん…そうだね…」と答えるよりほかにありません。
そして谷地が話したいことがあると、「お嬢さんを僕にください」と言った瞬間にのほほんと歩の父がと帰宅します
真っ赤になる谷地と、汗だくになって事態の把握に努める父、冷静に父親の返事を促す母に、父親に座ったらと言う駆(弟)の対比が見事ですwww
そしてしばらくたって事態が飲み込めた父が「ふっ、ふつつつかな娘ですが」と大声で言い、誰かが「つが多いよ」と突っ込むシーンで歩の実家訪問は終わります。
本当に歩のお母さんは実父に対して鬼のように厳しいけれど、そこにきっと歩に受け継がれた不器用さが隠れているんでしょうね。藤田家ってこんなかぁとおもしろいシーンでした。
帰り道、結婚のことをちゃんと言えて安堵する2人。
歩は、ずっと気になっていたであろうこと、今の家を出たらどうするのかを谷地に聞いてみます。
谷地は淡々と、「とりあえず今の家の近くで即入居できる単身向けの部屋借りる。それで善六さん手助けしながら 新居のこととか式のこととか1年ぐらいかけて結婚の準備できるのって理想じゃない?」と言います。
歩はそれを聞いて、「…そうだね」と答えます。
母の提案は理解できるし、そのまま4人で暮らすのは現実的じゃないことも分かってもいる。
谷地が出ていくことを即断したことで、みんなの気持ちが助かったことを感じていたのです。
谷地は歩に
「俺 善六さんちに逃げ込むように棲みついたけど 本当はいろんな人に愛されて 許されてきてたんだね」
と語ります。
そして、「…もう 返さないと」と続けるのです。
”いつだってみんなのために 谷地くんは笑顔で正しい決断をする“
それは少し、悔しいような、もどかしいような表情を浮かべて、歩は谷地の手をきゅっと握りながら思っていました。
また
”出てっちゃ やだ“
とも。。。
布団の中のふたり、谷地は「おやすみ 歩」と言って眠りに落ちていきます。
”不思議だった 結婚とかそんな【未来】を語り合ってたのに この家での【今】の暮らしが終わることを 私は考えもしなかった“と思いながら茫然としたように谷地の寝顔を見つめます。
布団をかぶる歩。まるで泣きたいのを悟られたくないと思うように。
ラストシーンは 善六邸の全貌と、歩の“終わるんだね”という心情吐露でした。
きっと愛してしまうんだ34話の感想!
いよいよ藤田家総出演でした!!
母と弟と歩の顔の似ている具合と、善六さんと父の雰囲気のそっくりさ。
また結局母の不器用な実父への愛情を感じた回でもあったし、あまり密度の濃い家族関係ではないのかと思ったけれど実はそうではないのだということが分かります。
きっとそれは谷地も同じだったのではないかなと思います。
「谷地はいつだってみんなのために正しい選択をする」という歩の心情が、なんとも切ない回でした。
だから谷地なんだけど、でも歩ともう少し協議できるともっといいのに、家族になったらそうなってほしい、などと思いながら読んだ回でした。
次号はいよいよ最終回です!見逃さないようにしなくては!と思います。