今の自分が良い
帰り道。
進吾くんが送ると言うのを断って、何かとかつてのように世話を焼いてくれようとする彼に、朱里ちゃんは言うのです。
あなたとは2人でお酒を飲まない、と。
そして、納得できない進吾くんは、田中さんの影響で自分と距離を置くことにしたのか、と聞いてきます。
そうだよ、と答えて、朱里ちゃんは言います。
進吾くんといると自信が減る、自分には魅力がないのかと背筋が曲がってしまう、と。
田中さんと出会って、その生き方にふれて、進吾くんに執着しなくてもいいと思えたのだと。
進吾くんも、田中さんがいるからもう自分がいらないのか、と言います。
ただ次の依存先を見つけただけじゃないか、と。
でも、朱里ちゃんは答えるのです。
少なくとも、前の自分よりも、今の自分が好きだ、と。
好きだから
駅からのタクシーの中で、運転手さんとおしゃべりするうちに、過去のことを色々思い出す朱里ちゃん。
このシーンで語られるいろんなことは、彼女を作ってきたんだなぁとしみじみするようなエピソードで、どれもこれも興味深いし、頷けるし、おもしろい。
私が特に気持ちを掴まれたのは、合コン相手に違和感を感じたかつての朱里ちゃんが、その合コン相手と消えた友達の危機を助けるというシーン。
薬を盛られたらしく具合が悪くなった朱里ちゃんですが、友達はもっとヒドイ危機にいる。
助けなきゃ、だけどやっぱり怖くて。
その時、助けてくれたのが進吾くんでした。
そして、自分達が男にどんな目で見られているのか分かってるのか、と怒鳴る彼に、朱里ちゃんは泣きながら言うのです。
ランドセル背負ってる時から分かってる、と。
だけど、用心しても対策しても、いいなと思えば気が緩んでしまうのだ、と彼女は泣きます。
泣きながら謝る彼女を抱きしめた進吾くんは、次からは男と2人で飲む時は自分がバイトしてる居酒屋にしろよ、とぶっきらぼうに、だけどきっと愛情を込めて言います。
その声を聞きながら、もう合コンなんてしたくない、と思う朱里ちゃんの気持ちが、もう胸が痛いですよね。
もう進吾でいいじゃないか、と思いながら一晩を過ごしたけれど、そうはなれなかった自分達。
それを思い出して、きっとすごく好きだったんだ、と思い知る朱里ちゃんが、なんとも切ない。
それぞれの役割
別の日、朱里ちゃんは田中さんに四十肩の治し方を知らせようと連絡をとると、彼女はジムにいる、との返事。
元気になったのかと張り切って向かう朱里ちゃんですが、ジムでもやっぱりうなだれている田中さん。
どうやらお友達が連れ出してくれたみたいですが、やっぱり肩が痛いらしく、腹筋するにも痛みが邪魔しています(泣)。
朱里ちゃんが張り切って見せた治療法は、しかしすでに田中さんがやってみて効果がないことが分かっていました…(泣)。
すぐに別の方法を、と出て行こうとする朱里ちゃんを、お友達が止めます。
これは田中ちゃんの問題で、あなたの問題じゃないわ、とムキムキのお友達が言います。
そして、彼女なのか彼なのかビミョウなお友達は、これから起きる老化現象にはこんなのもあんなのもあって、こんなのは序の口なのだ、アラフォーとはそういう迫りくる恐怖と一人で戦っていかなくてはならないのだ、とガクガク震える田中さんをビシィ!と指差すお友達。
20代の朱里ちゃんには分からなくていいから、今の自分にできることをやりなさい、と諭してくれるお友達。
それを聞いて、脳裏に田中さんは新しい依存先ではないかと言った進吾くんがよみがえる朱里ちゃん。
自分が今できることや、やりたいことを考えた結果、田中さんが出るはずだったショーに出ることに決めました。
この、先生にショーに出ると宣言するシーンがまたおもしろい…(苦笑)。
「表現」とは何か、を諭されて、朱里ちゃんは真剣に練習を始めます。
…手足が逆になってはいるけど(苦笑)。