ふわふわゆれて、はらはらおちて。ネタバレと感想!ゆうか×悠樹の危険な恋

プチコミックで大人気の二人の作家さんのコラボ単行本ということで、入手するのに苦労した本書。

 

一井かずみ先生がネームを起こし、それを北川みゆき先生が作画を担当しています。

1本で終わったのかと思っていたのが単行本化されるなんて!と驚愕しました。

 

ふわふわゆれて、はらはらおちて【ゆうか×悠樹】のネタバレになります。

続きにご注意ください。

ふわふわゆれて、はらはらおちて【ゆうか×悠樹】のネタバレ


引用元:ふわふわゆれて、はらはらおちてより

「悠樹とする・・・夢は いつも綺麗」

 

ゆうかと悠樹という姉弟は、小さな頃からキスを交わすような、とても仲良しなふたりで、ゆうかにとって悠樹はいつからか「男の子で男の人」でした。

 

悠樹の方は、姉弟でキスを交わすのが「いけないこと」だと知る頃に、ゆうかから離れて行きました。

 

仕事から帰宅したゆうか。

会社の先輩であって初めての彼氏である中野にプレゼントされた靴がなかなか足になじみません。

玄関先で足が痛いと思いつつ「なんとか履きこなさなきゃ」と思っています。

 

ちょうど悠樹が大学に出かけるところで、母が「晩ごはんどうするの?」と聞いている声にも答えずにぼそりとゆうかに「靴似合わない ゆうか」とだけ言って出かけていきます。

 

そうやって、自分から離れていく悠樹。

ゆうかは「それが大人になるっていうことなんだろう」と思いながら、どこか納得できていない様子です。

 

翌日、会社で彼氏である中野から

「やっぱりその靴似合うね」

「走れるって有名なブランドだし」

「矢野さんは華奢でスタイルいいから、いつも履いてるローファーより女性らしいデザインが似会うって思ってたんだ」

とにかく賞賛のつぶて。

 

さらに「ところで矢野さん、いつ俺名前で呼ばせてもらえるの?」と聞かれて答えに困り、「もう少し待ってください」と返答します。

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ここに、ゆうかの「誰にゆうかと呼ばれるかを大切にしたい」という気持ちが隠れているようで、なんとも切ない。

その夜、中野とH中に、中野が思わず「ゆうか」とつぶやくことで、ハッと「靴似合わない ゆうか」と言った悠樹の声と顔が浮かんでしまいます。

 

中野との休日デートにも買ってもらった靴を履いていったゆうか。

しかし靴ずれがひどくて流血してしまい帰宅します。

 

部屋に戻ると、隣の部屋に悠樹が彼女連れで帰ってきます。

彼女の騒がしい声をうるさく感じながら、ゆうかはセックスし始める二人の声が聞こえてくるのです。

そんな中、悠樹が「俺が欲しい?」と聞いている声に反応してしまいます。

自分を抱きしめながら「こんなにも悠樹がほしい―」と痛感するのです。

 

そんな時、ズキッと足が痛み、ゆうかは部屋を出て足に湿布を貼りに階下へ降りてゆきます。

 

その音を聞いた彼女が、「誰かいたの?」との問いに、悠樹は「ゆうか」とだけ答え、ゆうかの悠樹と何度も何度もする、綺麗で幸福な夢を見ている場面が描かれます。

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このシーンがまた美しい。

翌日、リビングで一人で呑んでいた悠樹。

ゆうかは会話が嬉しくて「悠樹は何をしていたの?」と聞きます。

 

悠樹は「ゆうか あの靴やめなよ」と。

「子どものころに、足捻って少しだけ歩き方にクセついてるから、安定の悪い靴苦手でしょ?」

と続ける悠樹と、その言葉に喜びを隠せないゆうか。

 

嬉しい、夢なんかよりずっと嬉しいと思いながら、同時にゆうかは「夢は自分だけのものでしかない」と分かっている、と心でつぶやきます。

昔の仲良し姉弟のように悠樹の背中に抱きつくような仕草をするゆうか。

悠樹が何か喋ったら離れようと思いますが、悠樹も黙ってそれを受け入れています。

 

目の前に愛する悠樹の綺麗な肌があって、ゆうかはそこにキスをしたい衝動に駆られます。

”ここにキスしたら、あたしどうなっちゃうのかなぁ”

そっとキスをすると、涙がでたゆうか。

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ここに、一井かずみ先生のネームの力が…!と思ったのは私だけでしょうか。

 

「ゆうかとセックスする夢は いつも綺麗」

悠樹の視点からはじまります。

 

現実では、ゆうかが足を痛がっている背中が見えます。

 

夢はいつも、綺麗で幸福。

でも現実のオレはゆうかのただの弟。

「安定の悪い靴は苦手でしょ?」というセリフを言うために待つだけ。

 

ゆうかは笑顔で、「でも履けるようになりたいの。ありがとう」と答えます。

「ほらね 弟でしかない現実なら呆れるくらいに不変」

 

また前を向いて座りなおすすと、そっと自分にキスをするのを感じながら

「不変のはずだ」

と思いながらも驚きが。

 

翌朝、ゆうかの靴に血がついていることに気付いた悠樹

”夢の中でなら、オレはゆうかを好きにできる。幸せにできることだってできるのに―”

と思いながら、ゆうかの靴の上に靴ずれパッドをそっと置いて出かけます。

 

昨夜のゆうかのキスを受けて、「家を出なくては」と考えます。

そこへ悠樹の彼女から電話がかかってきます。

さらに、彼女の口から「ゆうか?ってそれ悠樹のねーさんだっけ」と。

 

他人から「ゆうか」という大事な名前が不用意にもたらされたことに怒りを感じ、

「ダメだ家を出よう できるだけ早く」

と考えます。

 

ふたりっきりになるのはまずいと考えた悠樹、大学に戻ろうとしたところへ、ゆうかが静かに帰宅します。

 

頬を殴られ、裸足でいるゆうか。

何をやってるんだと問う悠樹に、ゆうかは淡々と話します。

「彼と別れてきた。靴…どうしても歩けなくなって、捨てたの。痛くて、痛くて…」

 

悠樹が手当てをしようと用意する間、ゆうかは堰を切ったように感情を爆発させてしまいます。

「頑張ったのに!あきらめなきゃ、ちゃんとしなきゃって!ほかの人を好きにならなきゃって その人にも自分にもウソついて!傷つけて!!」

 

ゆうかはついに、いつも見ている夢を、告白してしまいます。

「悠樹とする夢を見るの…何度も…」

悠樹もまた、”ゆうかとセックスする夢はいつも綺麗”と心の中でつぶやきます。

 

「本物のゆうかの顔が見たい。夢じゃなくて」

「ああ やっぱり夢よりもずっと 綺麗だ」

 

同じ思いでずっといたことをようやく理解し合い、キスを交わします。

 

「おちていく絶望は 綺麗 どこまでもどこまでも 綺麗」

ふわふわゆれて、はらはらおちて【ゆうか×悠樹】の感想

これを初めて読んだ時には、

一井かずみ先生がいる!

北川先生の絵だけど!

と思い、これはこのタッグで、この役割分担でやるべきだとしみじみしました。

 

おちてゆく絶望すらも美しい。

それくらい想っていたのだと、しみじみしたし、切ない気持になりました。

 

二人の恋は、本当の姉弟だろうから成就することはないのだろうけれど、どういう将来、そして老後を迎えるのだろうと40過ぎの私は考えてしまうのでした…。

 

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