先日初コミックス「あに、いもうと」が発売になった市原ゆうき先生の新連載です。
きっと誰もがいつかどこかで聞いて「ええええ?!」と思ったことのあるだろう言葉「定時なので帰ります」がタイトルであることがまずおもしろいです。
どんな主人公か、気になりますよね?
「定時なので帰ります」第1話のネタバレになります、続きにご注意ください!
定時なので帰ります第1話のネタバレ
引用元:プチコミック11月号より
もう最初のシーンから主人公の生田愛は、デスクに顔を突っ伏して「ザ・ぐうたら」な姿勢。
定時まであと2時間。たしかに眠かろうしおやつもほしくなる時間ではありますが…心の声がダダモレる態勢でいるのはある意味スゴイ、と思いました…。
そこへ上司が来て、愛に産休に入る人の代わりに営業のサポートについてくれと頼みにきます。あからさまに嫌そうな表情の愛www
こんな従業員に怒らない。なんて寛容な会社…!と思ってしまったのは私だけでしょうか。
定時で帰宅する愛。待っているのは愛を溺愛しすぎている両親でした。
愛は、長い不妊治療の末にできた一人娘。
幼い頃にスイミングスクールで溺れて死にかけて以降、危険を伴う事はすべて排除、「何も頑張らなくていい ただ生きてさえいてくれれば…!」ということが教育方針のすべてとなってしまいました。
それは、もはや呪文のように愛の人生に影響を与えてしまったようで、できあがったのはやる気ゼロのダメ社会人。でもそれを否定する人は誰もいなかったようです。
会社で陣川が愛のもとにやってきます。
営業トップを取る気満々の陣川は「覚悟してついてきてくださいね」とさわやかな笑顔にギンという目ヂカラつきで言うのでした。
愛にとっては、陣川は異星人でした。
勝気で強気、目標に向かって常にギラギラしている、というのが愛の印象で、〝そんな人と組むなんて絶対めんどくさいに決まってる!!″と産休にはいる松本さんを半泣きで見送るのでした。
徹底的に違うふたり。
12時になれば仕事より社食の人気メニューを優先させる愛、
納品書のミスを休憩前に直せば昼一番の処理に間に合うと思う陣川なのです。
陣川は明日の締切厳守で、クライアントからの質問事項をエクセルにまとめるように指示します。
定時で帰ろうとした愛。
陣川は頼んだ仕事はどうなったのかと聞きますが、愛は「明日できることは 明日やればいいんです」と言い放ち帰ります。
しかし翌日、なんと会社のシステムがトラブルに!愛は、陣川の仕事を締め切りまでにできずに定時を迎えてしまいます!
悪びれもせずに「定時だから帰るね」という愛の手を、陣川はがしりとつかみ、「帰しません」とキッパリ。
まったく反省の色が見えない愛。
陣川は思わず、「生田さんってなんのために生きてるんですか?」と聞いてしまいます。
「言っとくけど 陣川くんみたいに目標がある人ばっかじゃないから」
両親の呪文を聞きながら、ただとにかく「なんとなく」生きてきてしまった愛。
「…そんな私にこの先なんのために生きればいいのかなんてわかるわけないじゃん」
愛は自虐的な笑顔で言います。
陣川は「じゃあ 俺のために生きてくださいよ」と愛に言います。
驚く愛。
陣川は自分のサポートになったのはもう仕方ないし、営業トップを取るにはサポートが必要不可欠なんだから、生きる目的がないならちょうどいい、と言うのです。
これからは、陣川が何をしたいのかを常に考えて生きてくれ、と言われ愛も陣川の申し出を承諾。
それから毎日、陣川が何を求めているのかを考えて実践するものの間違えてばかりの愛。
陣川のスケジュールに合わせた会議室の予約や、資料の作成方法など徹底的に指導が入ります。
さすがにぐったりの愛。
ある日、いつものように差し出された陣川の手。
考える愛の出した答えは、部内ミーティングの資料。
渡してみると、陣川は優しい笑顔で「正解です」と答えます。
愛は思わずガッツポーズをしてしまい、そんな自分に驚き、ガッツポーズにキラキラしています。自分がちょっと頑張っちゃったかも、ということが嬉しいようです。
いよいよ陣川と愛が準備してきたA社のコンペの日。デスクを見ると、「A社向け提案資料」と付箋の貼られた封筒が。
陣川が忘れたのだと思った愛は今から走って追いかければ多分間に合うけれど、見なかったことにしようとします。
理由は外が雨で今日は新しい靴を履いてきてしまったこと。なんとも愛らしい理由です。
そして「陣川なら資料なんかなくても大丈夫」と自分に言い訳するのですが、やはり雨の中陣川を追いかけます。
やっとのことで追い付いたのですが、実はそれが控えで原本は陣川がちゃんと持っていることを告げられ、徒労感に襲われます。
全部無駄だったと感じる愛。〝柄にもなくやる気なんか出すもんじゃないね…″という愛の心情吐露がなんとも切ないです。
コンペは大成功!
愛に陣川が「ちょっと休憩付き合ってもらえます?」と声をかけてきます。
休憩スペース、陣川は
「新しい靴・・・濡れちゃいましたね」
晴れたから乾かしましょう、と愛の濡れた靴を脱がせます。
なぜ知ってるのと問う愛に
「大事な仕事のパートナーですから、それくらい見てますよ」と言いながらも「今日は予想外だった」と腰をおろします。
「だって」
「あの生田さんが新しい靴濡らしてまで俺のために走ってくれた。なんなんすか…生田さんのせいで俺 いつになく頑張っちゃったし あーもー本当…」
淡々と話していた陣川は、ネクタイをゆるめながら「疲れさせんなっての!」と全開の笑顔で言うのです。
それを見て、これまで両親に溺愛されるがままに生きてきて、このままずっとこうして”なんとなく”生きていくのだと思っていた愛が、何とも言えない表情で目を潤ませます。
そんな愛の表情に意外そうな目をした陣川、愛に近づき
「生田さん、俺が今 何をしてほしいかわかりますか?」
それを見上げながら、愛は〝ああ 私 今 人生で最高にドキドキしてる″と思い、次回へ続くのでした。
定時なので帰ります第1話の感想
これを読んで、実はこういう子って多いんだろうな、としみじみしました。
私も病弱なので子ども時代、色々親にやらせてもらえなくて学校とか社会に出てびっくりの連続だったりしたことが沢山あったし、転ばぬ先の杖をドシドシついてしまう親が多いっていうのも社会問題になりましたよね。
でも、命を守るために「頑張らなくていいんだ」と大事にされすぎることは、子どもの力を奪うこともあったりして。
これから陣川に鍛えられて、愛が「自分」を見つけられるといいですね。
でもなー、このちょっとラブっぽい場面でも愛のことだから疲れたからチョコがほしいに違いないと思って差し出したりしないかなぁと次号が楽しみです。