「青の花 器の森」最新11話(月刊flowers2019年3月号1/28発売)の《陶芸と恋の物語》を読んだので ネタバレと感想をまとめました。
青子を訪ねて波佐見の地を訪れた謎の男は青子の昔の・・?!
連絡先を交換し、急速に距離を縮めていく青子と龍生に新たな恋の刺客あらわる!
互いの陶芸に対する気持ちを通し、言葉でなく理解を深めていく二人に、静かな恋の心音が聞こえるような、静寂の恋物語をかみしめる回となっています・・・!
続きはネタバレになります、ご注意ください。
青の花 器の森 前回までのあらすじ
前回は無事に量産することも決まり、連絡先を交換するまでに距離を縮めた青子と龍生。
青子がはしゃいでバランスを崩し落ちそうになるのを龍生は受け止めたですが、抱きかかえたまま押し倒したような姿勢になってしまう。
動揺し、なんともいえない空気がふたりを包む一方で、窯には謎の男性が一人青子を訪ねてきていた。
青の花 器の森「陶芸と恋の物語」第11話のネタバレ
青子のいる窯元に、突然訪ねてきた恰幅のいい謎の男性。
にこにこ人の良さそうな笑顔で、
青子いる?久々に帰ってきたし、顔が見たいなーとおもってさ
と話しかけてくる男性とは対照的に青子の同僚しのぶは、冷ややかな視線で、青子に何の用?とかみつく。
「今さらのこのこあらわれて、よくそんなことが言えますね。」
「青子をあなたに会わせたくない、帰ってください」
どうにか追い返そうとしのぶが声を荒げていると、窯のみんながそこにわらわらと集まってきてしまう。
「おおお?!熊ちゃんに似とるなと思ったら本物か!!」
「まーー久しぶりやね、熊兵さん!」
どうやら、熊平こと熊ちゃんと呼ばれたこの男、以前この界隈に住んでいたようで、窯のみんなとは顔見知り。
しのぶを除くみんなと仲よさげに、久しぶりの顔を合わせて花を咲かす。
今回はなんで戻ってきたんだ?と質問責めにあっている熊平の背後から、待ってよー!という声とともに、 龍生を追いかける青子の2人が走ってくる。
ハー!ハー!と息を切らして、
「もー、何も置いてくことないやろー」
と何とか龍生に追いついた青子に、「青子!!」と熊平が大きな声をだす。
その声の主を見るや否や呆然と立ちつくす青子。
青子の名前を叫び両手を広げて駆け寄る熊平。
青子と一緒にいる自分には目もくれず、青子に駆け寄る男を目の当たりにする龍生。
「会いたかった ごめんな、青子」
叫ぶと同時に、皆んなの前で熊平は青子を熱烈に抱きしめた。
龍生の目の前で、繰り広げられる見知らぬ男と青子の抱擁。
さっきまでの2人だけの秘密のような時間を過ごしていた青子が遠く感じる。
自分の知らない青子のワンシーンを置いてけぼりをくらったように見つめる龍生と、突然のことに一言も発せないでいる青子に構わず
「実は小川さんから頼まれて、またパン屋の手伝いをする事になったんだ。」と。
みんなに渡したいものがあるんだと、少し青子のそばを離れた。
なにが起こったのかわからない、と頭の中が追いつかない青子は乾いた笑いを浮かべる。
そんな青子を見つめる龍生の耳には、窯の女性スタッフたちがコソコソと話す声が、くっきりと鮮明に聞こえた。
「いまのハグやばかったね」
「ねぇ、ドキドキしちゃった。だって3年前に別れたいうてもアレやん?昔付き合って二人なんやから」
青子と龍生の複雑な想いをよそに、大量のチョココロネをもってニコニコと現れた熊平。
昔この地で移動パン屋をしていた熊平が、地元の小川パン店に手伝いの声をかけられて今回地元に戻ってきたという訳らしく、釜のみんなに宣伝を兼ねてパンを配りに来たという。
釜のみんなはその報告を喜び「がんばれよ!」と応援の声をかける。
その様子をただ見つめる青子に熊平は、青子はコロネが好きだっただろうと特別に2個もっていけと話しかける。
いわれたとおり2個のコロネを受け取り「へへっ、ありがと_」とお礼を言った青子はコロネをもって釜の部屋の中にきびすを返す。
しかし、その作ったような笑顔がひっかかりしのぶは追いかけるが、大丈夫と言い残し片方のチョココロネをしのぶに渡し、カラ元気のまま釜の仕事に戻ってしまう。
いつもの青子と違う雰囲気をしのぶと龍生だけは感じ取っていた。
龍生は行く手を遮り「大丈夫ですか?」と声をかけるも…
「・・・はは、何が?大丈夫・・・だよ?」
と上部の笑顔でかわされてしまう。
そんな龍生の心配は的中、転んで皿を割った青子はその破片で右手を怪我してしまう。
絵付け職人の青子にとって大事な右手を怪我するほど、心ここにあらずの青子の原因を知っているしのぶは、そっと近づき謝った。
「青子ごめん。私があの人のことちゃんと追い返せれば・・・」
「ははっなんで。しのぶちゃんが謝ることないやろ。私は大丈夫やけん。」
利き手を怪我した青子は早退することになり、そこに龍生自ら
「俺これから型屋さんに行く用があるんですけど、そのついでに送りましょうか」
と申し出る。
遠慮する青子を押しのけ、しのぶが押し切り、青子の背中をぐいぐい押して帰り仕度をさせに向かわせる。
しのぶは長い付き合いだからわかる青子の事。
しかし龍生が青子自身のことや異変をも感じ取っていた事に意外な驚きを隠せなかった。
一方、青子を送る車内では、龍生と青子の二人きり。
龍生は青子の方を見ずに、まっすぐ前を向いて運転したまま声をかけた。
「無理してしゃべらなくていいですよ。」
「ここには、青子さんと俺しかいません。俺は 窯の人たちと違って青子さんの過去について何も知らない。だから無理に笑わなくていいんです 青子さん。」
龍生の言葉を受け止め、一瞬息が止まるような気持ちをおぼえた青子 。
ぴたりと黙って泣くのを我慢するように青子はうつむいた。
沈黙のまま青子の家に送り届け、明日も迎えに来ますという龍生。
「・・まって、ありがとう!」
と青子が言うと、運転席の窓越しに、少し照れたようにぺこっと頭をさげ帰っていった。
ーありがとう 何も聞かないでくれてー
ー私の気持ちを ほどいてくれてー
熊平と会って以降、窯にいる間もずっと強がっていた笑顔が消え、龍生を見送る青子の顔には、素直な表情が戻っていた。
青の花 器の森 第11話の感想
青子の昔の彼氏が登場しましたね!しのぶちゃんの怒り方といい、まだ青子に気持ちの残っている様子の熊平と、どんな過去があるのか気になるところです。
コンペ以降の龍生の心の許し方がどんどん大きくなっているのが、本当にきゅんきゅんしてしまいますね!
また、言いたいこともやりたいことも、結構言えるはずの青子がいざとなると周りに気を使って自分を出さなくなる・・・という控えめな部分をはやくも龍生が察している。
自分に重ねて見えるところがあるんですよね、自分と似てるからこそどうしたら楽になるのか、自分が接してほしい距離をわかってくれている。
何も言わない、何も聞かない、無理がなくていい。
龍生の器そのものだなぁと、しんみり優しいあったかさを体の芯に感じる回でした。
ますます近づいていくふたりの心の距離が気になって、来月が待ち遠しいです。