癒されるストーリーと、ほどよくコメディを組み込んだ展開。
そして全体的にとても優しいお話を描かれる『和久原にこ先生』の読み切りです。
プチコミック12月号の別冊に収録されています。
続きはネタバレです、ご注意ください。
恋愛防衛線のむこうがわのネタバレ
引用元: 恋愛防衛線のむこうがわより
主人公は幡野愛さん 26歳。
しっかり者のOLさんです。
しっかりしているのはお仕事だけではありません!
愛さんはそれなりに美人でそれなりに言い寄られて、色々な思いもしたため恋愛方面でもしっかりしています。
そのしっかり度合いは、アクシデントから始まる恋愛などごめんだ、というもはや信念のようなものからくるガードの固さに見事に出ています。
よくあるおしゃべりしすぎて終電逃す、というアクシデントなんて絶対起こしません。
常に自宅への帰宅手段を確保しているのです。
とある男性とのデートでは、終電を逃した愛さん。
「よかったらウチに」
と誘う男性のセリフにかぶせるように
「大丈夫です!今日隣駅でフェスがあって深夜臨時バスが出てるんです。
そこまではタクシーで行きます 間に合うように飲んでたので私 大丈夫です!」
と片手でビシッと拒絶を示しつつ、笑顔で言ってのけるくらい。
…間に合うように飲んでるってスゴイ…。
でも、普通にきちんと相手を知って恋愛がしたい、という慎重な気持ちも分かりますよね。
女性の26歳は、ただただ未来のあるやらないやら分からない相手に、費やす時間がもうあまりないと思う方も多いはず。男みたいに気軽に突っ込んで、タネまいてりゃいい生き物じゃないのよ女はさぁ!と読者、暴言を吐いてしまいましたごめんなさい。
『恋愛防衛線』
愛さんが名づけたそれは、強固に色々な男性との間に引かれてます。
どんなイケメンが寄ってきても脳内の愛さんが「この人はこういう人だから断るべし!」と指令を出すようになっているのです。
数年前に映画化もされたコミックでもありましたね、脳内会議。あれは何人もの自分がいたけれど、愛さんの場合は冷静な愛さんが一人で脳内を仕切っています。その眼光の鋭さがおもしろい…。
今日も一人のイケメンが脳内愛さんの指令に負けて行き、次なるイケメンが愛さんに声をかけてきました。
それは営業部のホープ 岡本さん。
「女性も多いし 遅くならないようにするし ご飯食べに一次会だけでもどうかな」と誘ってくれる彼。
イケメンな上にちょっとおしゃれでちょっと軽い感じで話しやすくて、ちょっとしっかりしているというのが愛さんのプロファイリング。
脳内の愛さんが「断るべし!」と言っているのに、どうしたことか本体の愛さんはふにゃりと笑顔になって「…それなら」と頷いてしまいます。
これには脳内の愛さんも本体の愛さんも大動揺。
何時にどこに行けばいいかと問う愛さんに、
「ミーティングが終わったらみんなで移動しよう 大丈夫 はぐれないし置いていかないからね」とニッコリ。
またもや「…はいっ」とはにかんでしまう愛さん。
脳内と表情が一致しない自分に〝なぜ笑う 私!″と思いつつ、そんな原因はひとつしかないですよねーwww
本来、岡本さんのような〝要領よくシチュエーションを利用していそうな″男性は嫌いのはず。
しかし、岡本さんは一次会で食事が終わったタイミングで、早く帰りたい女子達をしつこい男性陣に見つかる前にこっそり帰してくれます。
電車に乗りながら、あれ?と思っている愛さん。
考えてみたら岡本さんとは研修チームが一緒だったことくらいしか接点がなくて彼をよく知らない様子。
愛さんは彼の人柄を知ろうと事あるごとに観察するのですが、目につくのは彼のきれいなお顔ばっかりwww
頭で納得したいのに、と困り果てていたところに事件が起こります。
深夜のエレベーターに他の男性社員と二人で閉じ込められてしまうのです!
チャンスだと思った男性社員は、怖かったら僕の胸にみたいなことを言っています。
が、愛さんは極めて冷静に非常ボタンを押して、外部に連絡。
…男性社員、膝抱えて座り込んじゃったよ、愛さん…^^;
”他の人にならこんなに冷静になれるのに”
そこへ隣のエレベーターから、岡本さんと女子社員が降りてきました。
あー、と思う愛さん。
しかし女子社員から「何か起こるかと期待したのにすごく紳士的に距離置かれちゃった」と聞いて、岡本さんの印象がどんどん良い方へ動いていきます。
もっと彼を知りたいと思った愛さんは、次の飲み会へのお誘いも即答でOK。
岡本さんにびっくりされながら、「終電までには帰ります」と言います。
そしてなんと4次会まで行くのですがずっと女子社員に群がられ続ける彼とはまったく話せず。
そんな時、「終電のがしちゃったー」という女子の声。
〝セオリーきた!″と声の方を振り返る愛さん、目に映ったものは、
「きみはタクシー代より安くないでしょ 今出れば終電に間に合うよ」と言う岡本さん。
岡本さんは、ボーゼンとする女子の席から愛さんの隣に移動します。
バツが悪そうに「苦手なんだああいうの 自分を安売りされてるみたいで …ただもっと自然に仲良くなれたらいいのにって」と。
それを聞いて、〝ああ 無意識の私 やるな″と思い、もっといろんなことを話したいと思うのですが・・・
なんてこったい日ごろのガードの固さがアダとなり、そこで終電ですよーと愛さんのスマホアラームが二人の間に響きます。
迷った挙句に泣く泣く帰る愛さんと、「かわされた…?」と頭を抱える岡本さん。
うおー、でもここで帰らなかったら愛さんじゃないし!岡本さんもナンカあるなら追いかけろよ!と思わず右手をグーにしてしまう読者。
でも後日、再びハプニングというか愛さんにとってはチャンスが訪れます。
恋愛防衛線を飛び越えて、愛さんは岡本さんに歩み寄ることができるのでしょうか?
恋愛防衛線のむこうがわの感想
これはもう作品を読んでいただきたい!
和久原先生、さすがです!と思うラストになっています。
そう、このもどかしさ!この続編描いてくれぇぇぇぇ!と読者を悶えさせる展開!
和久原先生の優しくもサディスティックな特徴がとてもよく現れた作品、『恋愛防衛線のむこうがわ』。
…いつどこのコミックスに収録されるのか、読者は心待ちにしております…!