プチコミック2月号の『恋ひとつ ままならぬ』のネタバレと感想をまとめました。
和久原にこ先生の読み切り作品です。
イケメン男性が主人公の可愛らしい、いかにも和久原先生らしい作品です。
続きはネタバレです!
恋ひとつ ままならぬのあらすじ
前回、付録に収録された『恋愛防衛線の向こう側』をちょっと思い出させる、社内恋愛お断りという男性のお話。
私、和久原先生の男性目線の恋のお話が大好物です…!
では、内容に行ってみましょう!
恋ひとつ ままならぬ ネタバレ
引用元:恋ひとつ ままならぬより
主人公は名々瀬颯人さん 26歳。
素晴らしく綺麗なお顔立ちと、気のつく素敵な男性です。
最近入社した会社では、良くしてくれる女性たちが満載。
しかし、彼にはどうしても譲れない恋愛の条件がありました。
それは 社外恋愛ということ。
それというのも、颯人さんが以前いた会社というのは、大学の友人と立ちあげたもの。
気心の知れた男女5人でずっとやっていくものだと思っていたのに、ある日出張から帰った颯人さんを待っていたのは、他の男女4人が繰り広げる大修羅場だったのです。
その瞬間に、会社も友人もすべて失ってしまったと思った颯人さんは、会社を辞めて新しい職場へ。
〝二度と あんな目に遭いたくないし 誰も遭わせたくない″という強い決意のもと、
「職場に恋は持ち込まない」
という教訓を固く守り抜こうと思っているのです。
〝会社は仕事をするところ!愛だ恋だは外の世界で見つけるんだ″
と決意も新たに出勤しようと列車を降りた颯人さんの耳に、女性の優しい声が聞こえてきました。
声の方に視線をやると、駅のホームのベンチに具合が悪そうに腰かけた女性を介抱している女性が見えます。
自販機で相手に水を買って渡し、薬を飲ませて落ち着いたところで見送って、ホッとしたその女性。
しかしいざ自分の飲み物を買おうとしたのに残金不足で飲み物を買えない、という事態を目の当たりにした颯人さん。
とっさに自分の電子マネーカードをかざし、彼女の飲み物を買ってしまいます。
驚く女性と目が合って、思わず謝ってしまう颯人さんがいとおしい…!
そしてここに至るまでのプロセスで、颯人さんがどんなにいい奴なのかが和久原先生らしい手法で描かれていて、これまたいとしいのです…!!
「善いことをされた方が割を食うのは違うなと思って…」と言い訳する颯人さん。
「でも あなたからお支払い頂くのは筋が」と断ろうとする女性。
とってもまっとうな方です!(思わず「よッしゃ」と拳を握る読者)
それはそうなんだけど、と颯人さんが困ってほほ笑みながら
「…まいったな 飲んでください」と。
女性も遠慮がちにほほ笑み
「ありがとう ございます」
と飲み物を受け取って会釈していきました。
これが、颯人さんの〝マイ・エンジェル″との出会い。
また会えないかな、とぼんやり思いながらランチに出た颯人さんに、恋の神様がほほ笑みまくります!
飲み物代を払おうとする女性と、「いいです」と言うように手を振りながら店員さんに案内された席へ移動する颯人さん。
そして、ちらちらとのぞき見ると、店員さんとのやりとりや、食後のお茶を美味しそうに飲む姿に「ギューン」ときちゃった颯人さん。
〝ここは飯屋!食事に集中!″とぱくぱく食事をほおばる颯人さんと、お会計をした女性の目が合って、もう颯人さんのテンションはMAXに。
このあたりのシーンの描写がもう、ほんと和久原先生らしくてかわいい!
ランチから戻ると、もう颯人さんの世界はキラキラ輝いて、全世界が自分の味方のように思えている様子。
〝いいや 落ち着け こういう時こそしっかりしなくては!恋は職場に持ち込まないんだからな!”
と妙にビシッとしてみる颯人さん、はたと「恋か-!」としみじみ喜びに浸ります。
理想の女性に社外で出会えたというこの奇跡を、きっと活かしてみせると決意するのですが、次に会ったら話しかけようと張り切ったその時、颯人さんのエンジェルに会社で遭遇。
先輩が彼女は米澤美月さんで、別の部署の社員だと紹介してくれました。
ええええええええ
あああああああああああああああ
という、颯人さんの心の叫びが痛々しい…!!(笑←でも笑う読者)
しかも、先輩が「残念なお知らせ」と言って、颯人さんが「社内恋愛断固拒絶派」だと告げてしまうのです!
のーーーーーーん!(←読者心の叫び)
「…そうなんですね」と、どこか寂しげな笑顔で返す米澤さん。
それを受ける颯人さんの表情の対比が切ない!
もう!もう!!(どこにぶつけたらいいか分からない叫び)
職場恋愛はなしだと心に決めて、一生懸命〝まだ何も始まっていない 何一つ!”と自分に言い聞かせる颯人さん。
しかし視線は米澤さんを追ってしまい、どうにもならない自分の行動に頭を抱える颯人さん。
…ままならないのが恋ですからな…タイトル通りだけど。
とにかく頭を切り替えようと、仕事に打ち込もうとする颯人さんですが、そうして色々な人と仕事をしてみると、普段のキャラと仕事になると変わってしまう人が沢山いることに気がつきます。
前の職場が友達しかいなかっただけあって、その辺の社会経験は乏しいようです、颯人さん。
〝仕事の顔と 恋の顔が違うように 仕事の顔と普段の顔も違うのか”
とそのギャップに打ちのめされる颯人さんの耳に、強い口調で
「だめです それでは進められない 見直してください!」
と上司に掛け合っている米澤さんの声が聞こえてきて、”マイエンジェル 君も…!?”と様子を見守る颯人さん。
一生懸命に付け焼刃じゃない仕事をしたいと上司に訴える表情を見て、颯人さんは頭を殴られたような表情をしています。
仕事をしていると、たしかにいろんな顔に出会いますよね。
仕事のやり方に人間性が出ることだって、とっても多いこと。
その人の核のありようを たくさん知ることが出来るって 素敵なことじゃないか
そう、颯人さんは思います。
“どの君も素敵だって思えたなら それは ああ 俺は 君と同じ会社で”
という、若干余韻を残す心情吐露!
お見事!和久原先生!!!と思わず叫びたくなる展開です!
ここから、ラストに向けての展開がすばらしいのです!
米澤さんの心のこもった、誠実な言葉に触れて、ガラガラと崩れゆく颯人さんの
《ちっぽけなポリシー》
そして、ラストシーンでの颯人さんのセリフが、前回の読みきり作品とリンクしている印象を残します。
「そっちに行ってもいいですか」
このシーンのきりっとした颯人さんの表情が、ものすごくかっこいいのです!
《恋ひとつ ままならぬ》の感想
しかし、ほんとのラストのコマは若干コメディ。w
これぞ和久原先生!と思う作品でした。
社会に出ると、仕事を通じていろんな発見があって、幻滅もすれば感嘆することもあるけれど、それも含めて「そのひと」なんだって、思える出会いは素敵ですよね。
「働くことは生きること」と、誰かが言っていたけれど、働くことだけが人生ではないけれど、働くことで作られる人生はたしかにあって、それは絶対に尊重されるべきだと、私は思います。
いつも、働きたいという思いを後押ししてくれるような和久原先生の作品の力って、すごいなって思うのですが、今回も見事に「ああ 働いていろんな人に出会うっていいな」と思わされました。
次の和久原先生との作品の出会いにも、期待大です!