健康で文化的な最低限度の生活 8巻のネタバレレビュー!最新刊を無料で読む方法

健康で文化的な最低限度の生活の最新刊第8巻が6月28日に発売です!

柏木ハルコ先生のケースワーカーと生活保護受給者とのヒューマンドラマで、ドラマ化もされた非常に面白い作品ですよね。

現在もビッグコミックスピリッツで人気連載中。

最新刊となる8巻では、栗橋の担当の佐野の妊娠、そしてえみるが新しく担当する日下部家の話しです!

続きにご注意ください。

健康で文化的な最低限度の生活 7巻までのあらすじと登場人物

【登場人物】

義経えみる
新人のケースワーカー。鈍感な性格で人と接するのは向いていないと思っている。
しかし、人一倍ひたむきで、困っている人に寄り添える優しさを持つ。

栗橋千奈
えみるの同期。新人とは思えないほどテキパキと職務をこなす。

 

佐野美琴
栗橋が担当しているシングルマザー。翔馬と結菜という2人の子どもがいる。

日下部欣也
生活保護を受けながら資格取得に励む少年。

健康で文化的な最低限度の生活7巻までのあらすじ

栗橋は担当しているシングルマザー・佐野が、赤子を身ごもっていることを聞かされ衝撃を受けていた。

佐野はこれ以上経済的に子供を養う余裕はない。

そのことを十分にわかっている栗橋だったが、立場上、中絶を進めることができないでいた。

 

佐野は自分のお腹をさすりながら語り掛けていた。

その眼には涙が浮かんでいた。

「私だけが味方だからね。」

 

子を産もうと考えている佐野に対し、栗橋はなんとかしようと試みる。

父親の正体を明確にするため奔走していた彼女は、その男が佐野と同じく生活保護を受けていることを知った。

さらに担当していたのはえみるで…

健康で文化的な最低限度の生活 8巻のネタバレ

お腹の子の父親は堀田千尋であることが判明した。

えみるの話によると、堀田も児童養護施設で過ごしていたらしい。

彼の家族は母親が一人だけで、生活疾患を持っているため今も生活保護を受けながら過ごしているとのことだった。

 

えみるたちは母親のもとへ向かった。

仕事を転々とし、住居も定まらない様子の堀田。

母親も息子の居場所は知らないようだったが、彼の電話番号を教えてくれたのだった。

 

早速、えみるは堀田に連絡を入れ、扶養届を出すと言う名目で住所を聞き出す。

彼がいたのは北海道だった。

 

そのまま栗橋に電話を代わるが、母親がいる手前、妊娠の話を切り出せなかった。

彼女は堀田に後でかけなおすように伝えると、母親の家を後にするのだった。

 

その帰り道、栗橋の表情は硬いものだった。

「…女だけが苦労背負って困窮するとか、理不尽すぎるし。」

中絶費用は絶対出してもらう、と豪語する彼女に驚くえみる。

「中絶するって決まったの?」

栗橋は、佐野が悩んでいるのを知った上で、産むことには否定的だった。

引っ越しや養育費など現実的な問題が山積みだからだ。

 

「佐野さんも、その辺のことは常識で分かっていると思うけどね。」

『常識』という言葉にえみるの顔が曇る。

 

「常識かあ…どう、なのかなあ。」

一辺倒な栗橋の考え方に煮え切らない思いのえみる。

しかし、この発言がさらに栗橋を激高させてしまう。

 

子どもを育てることは決して生易しいことではない。

産んでみたものの、育児を放棄したり、虐待したり、そういう話は多い。

子どもにとって幸せな養育環境を作ってあげられるのか?!

そこを現実的に、具体的に考えた上で判断しなければならないのだ。

 

栗橋にまくし立てられたえみるは言い返すも、言葉が尻すぼみになっていく。

そして、どうしようもできない不甲斐なさに俯いてしまうのだった。

 

後日、堀田への連絡を試みる栗橋。

彼女は直前に上司に言われた言葉を思い出していた。

「人の税金で子どもを育てるとうことが世間的に許されるかどうか―――

常識で考えた上で判断してもらうように。」

 

栗橋は電話口で堀田に妊娠の事実を伝えるが、彼はそれを知っている口ぶりだった。

―――知っていながら逃げたということか…

栗橋は次第に彼への疑心を募らせていく。

口調が少しずつ尖りはじめた彼女は、堀田に責任にがあることを指摘しながら中絶費用の話をすすめていく。

 

しかし、「中絶」という言葉を発した途端、彼の態度が一変する。

声色もイラついた様子になり、ふてくされた態度になったのだ。

栗橋は一瞬ひるんでしまうが、佐野が経済的に困窮していること、さらには切迫流産の危機にあることを伝えると、彼の早急な判断を仰ぐのだった。

 

「産む」という行為は本当にあり得るのだろうか―――

情報収集を重ねながら栗橋自身も悩んでいた。

支援者のサポートで子育てをできるようになる母親もいるが、一方で子どもを適切に愛せない母親もいる。

佐野は果たしてどちら側なのだろうか…?

 

煮詰まった栗橋は子ども支援課のソーシャルワーカー・金子いくよに助言を求めた。

産むべきが、産まざるべきかわからない。

虐待のリスクを冒してまでこれ以上婚外子を増やしたくない。

 

栗橋の悩みを聞いていた金子は強く言い切ったのだった。

「人の生死にかかわるようなことは、ケースワーカーの価値観で決めていいものじゃない。

それを決められるのは、本人だけよ。」

佐野に会いに行った栗橋は改めて意志を尋ねた。

佐野の強い目線は揺るぐことなく、彼女の気持ちをそのまま映し出していた。

―――子どもを産みたい

彼女の様子に栗橋も改めて気づく。

 

これは佐野の物語。

彼女が「彼女の人生を生きる」、ただそれだけのことなのだと。

 

同時に栗橋は強く思っていた。

彼女が正しい道を進めるよう手取り足取りサポートする。

ケースワーカーにできるのはそれだけなのだ。

 

一方のえみるは新たに日下部家を担当することになった。

日下部家は過去に生活保護の不正受給をしており、それが原因で徴収金を払い続けていた。

 

一家の息子・欣也はバイトをしながら進学を志していた。

周りに馬鹿にされたくない、全うな大人になりたい。

誰よりもそう強く願っている彼は、看護師の資格取得を目指すと告げる。

 

病院から奨学金が出ることを考慮してのことだった。

ただ、唯一成績が心配なのだと言う欣也たち。

しかし、欣也の思いを受け取ったえみるは、彼をサポートすると宣言したのだった。

 

屋上でつかの間の休息を取っていたえみると栗橋。

親の影響でつい人生にレールを敷きがちな栗橋と、行き当たりばったりなえみる。

たくさんの人々のままならない人生に翻弄され、やるせない気持ちになることも多い。

それでも弱い立場にある彼らに手を伸ばし、背中を押してあげなければならない。

それぞれが自分のやり方で。

 

正反対な2人だが、同じ仕事をこなす仲間として、その思いは同じだった。

出産に伴い、適切な環境を作るため佐野たちの引っ越しが決まった。

身重で動けない佐野のために、栗橋は保健師に相談を持ち掛けたり、ボランティアを募るなど作業を手伝ってくれる有志たちの収集に奔走していた。

 

その甲斐あって、大掃除当日は多くの人々が佐野の家にやってきた。

そこには佐野の友人も駆けつけていた。

彼女たちは家の修繕費のためにカンパを集めてくれていたのだった。

 

皆で協力し合い、佐野の部屋はすっかり綺麗に片付いた。

「これで見納めですね。」

空っぽの部屋を前に、栗橋が佐野に語り掛ける。

そのまま部屋を出るよう促すが、彼女はうつむいたまま黙っている。

 

栗橋が心配そうに声をかけると、佐野は消え入りそうな声でつぶやいた。

「ウチは…この部屋で死ぬと思っていた。」

2人の子供を育てながらも、苦しさから彼らを残して逃げたことも何度かあった。

テレビで虐待のニュースを見るたび、次は自分の番なのかもしれない、とおびえて過ごしてきたのだと言う。

 

それでも、辛い状況を必死に乗り越えてきた。

まるで地獄のような日々だった―――

目に涙を浮かべながら、その場を動かない佐野。

栗橋はそんな彼女の肩にそっと手を乗せた。

「…行きましょうか。」

 

新居に引っ越した佐野はもう一方で進めていることがあった。

それは今の夫、つまり翔馬と結菜の父親との離婚。

妻に借金を押し付け、子どもたちを残し立ち去ったその男の非道さに、さすがの栗橋も「クズ」呼ばわりしていたほどだ。

離婚届は無事受理されたようだった。

 

そして、一時は失踪したと思われた堀田も、動きを見せていた。

彼は父親として責任を取ることを決め、佐野達をささえていく意志を見せたのだ。

 

お金を貯めて帰ってくる、と言った堀田に涙を流した佐野。

当初は一人で育てることを決意していた彼女は、ようやく肩の荷が下りたようだ。

そして、新たな生活に夢を馳せながらこれから生まれてくる命を心待ちにするのだった。

そんなある日、会社のデスクにいた栗橋のもとに知らせが入る。

佐野の体に異変が起こったのだという。

陰部から血が滴り、切迫早産とみられる症状が起きたのだった。

 

急いで病院へ運ばれた彼女はそのまま緊急入院をすることになった。

その間、子供たちは施設に預けられることになった。

栗橋が病院に駆けつけた時、佐野の表情は曇っていた。

やむを得ず仕方のないこととはいえ、子供たちを手放してしまったことに自責の念を感じ、彼らを心配していたのだった。

 

佐野は栗橋にある動画を見せる。

北海道にいる堀田からのビデオレターだった。

佐野達はゆくゆくは堀田のいる北海道へ移住し、そこで5人で新生活を送ることになっていた。

 

ビデオを片手に新居や学校を紹介して回る堀田。

お世話になっている職場の親方が登場したり、近所の子供たちが割り込んできたりと画面からは楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

嬉しそうに眺める佐野に、栗橋も自然と笑顔になっていた。

 

しかし、つかの間の喜びは次の瞬間憂いに代わる。

栗橋は佐野に新生活の不安はないかを尋ねたのだが、その途端に彼女の顔が再び曇ったのだ。

自分の母親のことを話し始める佐野。

彼女の母親は昔、北海道に住んでいて、そのことを娘に話す時だけは楽しそうにしていたのだと言う。

 

それでも結局、母親は子どもを一人残し、自殺してしまったのだった。

移住先は悪いところじゃないのかも、と述べる佐野だったが、栗橋の心は落ち着かない。

奇しくも佐野のこれまで生きてきた人生は彼女の母親のものとそっくりだった。

―――彼女は移住の先に何を見て、何を考えているのか…?

嫌な予感を必死に拭い去る栗橋だった。

 

一方で看護師を志す少年・欣也は自宅から通える専門学校へ願書を提出していた。

そして試験当日。

気持ちを引き締め、会場に向かう欣也だったが…。

 

「え、落ち……た?」

家族から結果を聞かされたえみる。

落胆するえみるのもとにさらに矢継ぎ早に不幸な知らせが届く。

なんと第2志望校にも落ちてしまったのだという。

 

えみるは必死に対応策を考え、まだ願書の提出が間に合う学校を探す。

ようやく二次募集を受け付けている学校を見つけた彼女だったが、そこは家から遠く通学範囲外にあった。

 

学生寮への入寮をすすめるも、新たな問題が浮上する。

「金が…足りない……」

遠方の学校へ通うための引っ越し代、交通費諸々含めても、彼らには到底余裕のない額だったのだ。

 

他の給付金等も考慮するが、時期が合わず支給を受けるのは難しいようだ。

焦りだすえみるに隣のデスクの先輩が声をかけた。

「父親に援助を頼むという手もあるんじゃないですかね…?」

 

母子家庭の日下部家だったが、離れている父親にももちろん扶養の義務が発生する。

「指定付き援助」といって、自立更生を目的としているのであれば、父親でも援助金が受け取れる仕組みが存在するのだった。

それを聞いたえみるはさっそく調べ始める。

 

時は年度末。

えみるたちケースワーカーにとって予想以上にあわただしい年の瀬となっていた。

欣也は父親と再会。

なかなか言葉が出せずにいた欣也だったが、やがて強く決心した表情で、話を切り出した。

「親父っ…!!頼みがあるんだけど――――…!!!」

 

そして、病院では―――

「産まれましたか!!」

ついに佐野の子どもがその産声を響かせていた――――

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健康で文化的な最低限度の生活 8巻の感想

紆余曲折ありましたが…ようやく佐野が出産を果たしました。

出産、子育て、離婚、出産とあわただしく人生を駆けてきた彼女。

全部1人で背負い込んで、あまり笑顔も出さない様子に心配でたまりませんでした。

 

これで堀田にも逃げられたら…と悲観的になっていたのですが、彼が決心してくれて本当によかったです。

とはいえ、佐野の憂いに満ちた表情と、栗橋の神妙な面持ちが引っ掛かり、胸がざわつきます…

もういい加減幸せになってほしいですが…彼女が心の底から笑ってくれるのを願います。

 

欣也のケースも、彼の前に進もうとする強い気持ちが伝わってくる分、滞ってしまっているのがなんとも歯がゆいです。

せっかくの可能性を潰してほしくないので、彼の父親に期待したいです。

 

今回は、えみると栗橋のでこぼこなコンビ感が印象深かったです。

同期でありながらも考え方が真逆な2人。

しかし、どちらが正しいということはないのだと思います。

 

正解がわからないケースワークの世界で、それでも自分を、担当する人々を信じながら困難に一生懸命立ち向かう彼女たちにとても心を動かされたし、応援したくなりました。

 

次回、それぞれ転機を迎えた佐野と欣也。

彼らの、そして担当者えみると栗橋の運命はどう動くのか―――

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