
プチコミック(12月号/2018 )の「このマンガもすごい!2018」に掲載された『ふたりぼっちのクリスマス』のネタバレと感想です。
ほっこりしながらも、時々すごい勢いで胸をえぐられるような描写で定評のある(私の中では)室 たた先生の作品です。
室 たた先生と言えば『放課後の賢者』が有名ですが、それだけではないのです!!(当り前だよ)
続きはネタばれです、ご注意ください。
ふたりぼっちのクリスマスのネタバレ
引用元:ふたりぼっちのクリスマスより
今回の主人公は、イベント会社に勤務する奈良崎ミチルさん。
そんなイベント会社の超繁忙期(ミチルさんい言わせると「控えめに言って地獄」)に、社内不倫がバレて上司が交代するところから物語は始まります。
裏では「掃除屋」と呼ばれている志方篤さんが課長に就任。
ミチルさんの課では、前課長がどんな仕事を抱えていたかをまず整理します。
が、実際はいるだけで何もしていなかったことが判明。

課の全員が「死ねばいいのに」と言うコマが私はものすごく室先生らしくて好き♡
とりあえず、新しい上司に現状を教えなくてはならず、その役目は何かと押しつけられがちなミチルさんに…。
ミチルさんはスケジュール確認後に志方さんに向き直って聞きます。
「何から知りたいですか?」
至極当然な聞き方をしたつもりのミチルさん。
志方さんは「おまえほんとに女か…?」と問います。
しかも「できすぎて気持ち悪い」と言われる始末。

…それはハラスメントの類に入ってしまうぜ志方さん…!と思いながら読んじゃう読者。歪んどる(←自分でツッコむ)。
ミチルさんも「暴言ですか?」とキレていますが、とりあえず分刻みのスケジュールをこなしながらこの上司に仕事を教えねばという状況。
志方さんに時間大丈夫かと問われて、あわてて「機材チェック行かなきゃ!」と車で外出。
志方さんは同行しながら、異動が多いから業務内容は大体把握していることや、覚えるのにも慣れているので1日仕事を見せてくれればそれでよいと言います。
なぜそんなに異動が多いのかと尋ねるミチルさんに、つらっと
「この口の悪さと 態度が問題らしい」
と答える志方さん。

…変える気がないよこの人…!と思ってしまいましたが、きっとそれが彼の魅力だと読者は踏んでおります。
ミチルさんは
「それは改善すればいいのでは…?」と提案しますが、
「同じことを伝えるのになんで口先だけそんな面倒なことをしなければならないんだ?」
と返す志方さんwww
ミチルさんは一緒にあちこち回ることになりました。
そこで、なんと志方さんがオートロックなのを知らないである倉庫でドアを閉めてしまいます。
二人は閉じ込められてしまうのです。
これには志方さんも大慌てで、「マジですまん!」とミチルさんの肩をつかんで謝ります。

〝あ、謝れるんだ″と冷静に考えるミチルさんがおもしろい…。
大丈夫かと心配する志方さんに、ミチルさんは大丈夫の一点張りで、あちこちに電話をかけ調整します。
その様子を見守っていた志方さんは、「おまえ本当に大丈夫なのか」とミチルを心配します。
ミチルさんは初めは冷静に「大丈夫だって言ってるじゃないですか」と言います。
しかし、やがて堰を切ったようにこの仕事の大変さ、中でも社員みんながミチルさんを頼り過ぎな状況が十二分に分かる内容を志方さんに言うのではないように、バーッと並べ立て、
「私だってクリスマスに彼氏と過ごしてみたぃぃぃ」と叫びます。

…ミチルさん…不憫な子…。
志方さんは「全然大丈夫じゃねーだろ!」とミチルさんを抱き寄せて、落ち着かせます。
いつから寝てないんだと聞かれたミチルさんは、はて?という表情。
それを見て志方さんは、自分をまくら代わりに閉じ込められている時間で、少しでも睡眠をとるように言います。
ミチルさんの手帳を見せてほしい、とも。
ミチルさんは眠りに落ちてしまい、次に気が付いたら車の中です。
もう着くぞと言われたその場所は志方さんの自宅。
先程叫んだ中に『3日お風呂に入っていない』というのがあり、ミチルさんをお風呂に入れて仕事に戻ると言います。
とりあえず釈然としないままお風呂を借りて「ありがとうございました…?」と部屋に戻ります。
すると、志方さんは手帳を返し、「大体分かった」と言います。
少ない人員でおそろしくよく回っていること。
それぞれの負担が大きすぎること。
おいおい個々の負担を分散して労働環境を改善するとして、クリスマスには間に合わない。
そして最も負担が大きいのはミチルさんで、彼女が課の要なので倒れさせるわけにはいかないこと。
「つーわけでおまえはクリスマス終わるまで ここに寝泊まりしろ」
という爆弾発言www
(志方さんの自宅は会社から超近いそうです)
「業務命令だ」w
奇妙な同居なのか同棲なのか分からない生活が始まります。
ミチルさんは、毎日3時間は眠れるという環境でもう元気でツヤツヤ。
一方志方さんは眠気に負けて、おにぎり食べながら眠ってしまうような疲労具合。

それだけの業務をこなしていたミチルさんが再び不憫になってしまうオバちゃん読者。
でもねー、20代後半ってお仕事もおもしろくなって力量もついちゃうから仕事入れ過ぎてしまったりするんですよねー。そして彼氏とは過ごせないとかねー、あるある。分かるわぁ、ともはや遠い昔を思い出してみました失礼しました。
志方さんは、イベント会社で散々イベントやってて、クリスマスに彼氏と何がしたいのかミチルさんに聞きます。
ミチルさんの語る理想のクリスマスがなんともかわいい。

だよねー。いいよねーそういうのねー、とほっこりするシーンが必ずあるのも室先生の特徴ですよね。好きです!(←叫ばずとも)
そこで志方さんがちょっと意味深なことを言いながら、眠気の限界で眠り始め、同じお布団でミチルさんもご就寝。
2週間も同じ布団で一緒に眠っている意味を考えた方がいいのだろうけれど、あまりに心地良過ぎて朝には忘れてしまうそう。
かくして、クリスマスまでの間、ミチルさんはツヤツヤしながら生き生きと仕事ができたわけで、それはとてもよいことですよね。志方さんの言葉の意味はちょっと気になっちゃうけど。
さて、イベント当日。
イベントは2日間だけれど、イブのイルミネーションがメインイベント。
その瞬間を志方さんと迎え、ミチルさんに「ありがとう」とほほ笑みます。
ミチルさんは、〝-本当に?″と思います。
志方さんと過ごした時間に感じたもの、今この瞬間感じているもの、そしてこれまでのミチルさんの苦労。
それらを包み込むような笑顔を見せる志方さんに、ミチルさんが感じている気持ちは一体なんなのか?
そして、クリスマスが終わると同時にミチルさんは自分の家に帰りましたが、まったく眠れないと志方さんに訴えます。
志方さんはしばらく考えた後に、「ちょっと待ってろ」と言い、「掃除屋」を廃業してきたことを報告するのです・・・
ふたりぼっちのクリスマスの感想
彼の掃除屋という別名は何なのか?
彼らの過ごした時間の中で交わした言葉の数々から読み解く気持ち、
そしてラストに待っているほっこりと、ちょっとの笑い。
この物語は本当に優しくてあったかい。
切ない瞬間もあるけれど『室 たた先生』の魅力がぎゅぎゅぎゅっと詰まった物語です。
ぜひクリスマスにもう一度読もう、と思って収録されているプチコミの付録をベッドサイドにセットしているオバちゃん読者でした♡
この読み切りも至極です☆